オープニング 突然のお願い
商店街
りみと沙綾が商店街を歩いている。りみは抜き打ち小テストの出来具合をとても気にしている。最近は、バンドの練習に力が入り、勉強の方は疎かになっていた。バンド練習に集中したいけれど、いつ小テストが来るか分らないし、補習になったら練習時間が減るから困るのだ。だから、りみは、沙綾に勉強を教えてもらおうと考えていた。沙綾はそれを聞き、ちょうど時間的にも余裕があったので、2人はカフェで勉強することにした。
通りを歩いていると、通行人が新しくできた結婚式場がオープンするらしいという話を小耳にはさんだ。2人は、ウェディングドレスの話になる。女の子だったら、誰でもウェディングドレスに憧れる。テレビや雑誌で特集していたら、ついつい見とれてしまう。
沙綾は、りみに将来どんなドレスが着てみたいか尋ねる。最近はいろいろなデザインの可愛いドレスがいっぱいあるから、迷ってしまう。ドレスには憧れるが、たぶんまだ先のことだし、自分が着ている姿が想像つかない。どうやらりみは、ふわふわしていて可愛いタイプのドレスに憧れているようだ。沙綾も、現実味のない話だから、りみと同様に想像することができなかった。
商店街の先に、沙綾のパン屋の常連客の姿を見つけた。その馴染みの客の様子がちょっと変。首をかしげて…何か困り事でもある様子だ。気になった沙綾は、馴染み客のところへ行ってみることにした。
沙綾は商店街の馴染み客に、どうしたのか尋ねてみた。すると、宣伝写真を撮る予定が、モデルが急にキャンセルになったのらしい。撮影を明日に控え、代わりの人が見つからないのだという。そして、沙綾の顔をまじまじと見て、その商店街の人は、沙綾にモデルになってくれないかと頼む。今度オープンする結婚式場の宣伝写真…その新婦のモデル。
新婦役でウェディングドレスを着て、宣伝写真を撮るのだと知り、驚く沙綾だった…。
第1話 あなたに決めた!
商店街
新婦役の話を聞いた沙綾は、悩んでしまう。商店街の人は、沙綾なら絶対に似合うとか言うけれど、宣伝写真は多くの人に見られることになるし、恥ずかしくて自分には無理だと。若い人たちが、その宣伝写真を見て、自分たちも結婚式を挙げたいな…と思ってもらえるようなイメージの撮影…そんなイメージに沙綾がピッタリだと言うのだ。まだ、高校生だし、若すぎるのではないか?それに急に明日と言われても心の準備ができなし…。
悩みに悩む沙綾だったが、商店街の人から、頼めるのは沙綾しかいない!なんて言われてしまうと、むげに断ることもできず、つい勢いで引き受けてしまった。商店街の人は、沙綾にドレス写真がいっぱい載っているパンフレットをくれた。撮影は、明日の10時、結婚式場…。
OKはしたものの、本当に沙綾にこの仕事が務まるか内心心配になってきた。カフェでりみが待っている。取りあえず沙綾は、カフェに急ぐことにした。
羽沢珈琲店
珈琲店では、りみが席を取って待っていてくれた。りみは、沙綾の元気のない様子から察して、何かあったのかと心配する。沙綾は、さっきの商店街の人から頼まれたことをかいつまんでりみに話す。
商店街の通りでは、太陽のまぶしい日差しを浴びながら、心地よさそうに薫が歩いていた。先ほどの商店街の人がまだいる。どうやら新婦のモデルを見つけたところへ、今度は新郎のモデルがキャンセルになったのらしい。薫は、はぐみの待つ楽器屋へと急いでいた。
商店街の人の視界に薫の姿が入った。一方薫の方も視線を感じていた。「私の美しさは、全ての視線を独占してしまう…ああ、こんな罪深いことがあって許されるのだろうか?」いつものごとく、薫は独り言を言う。
第2話 高まる緊張
羽沢珈琲店
商店街の人から、新婦役のモデルを頼まれたと話し始めると、驚いたりみが大きな声を上げる。商店街の人の話を聞いていたら、とんとん拍子に話が進んで、それでモデルをやることになったのだと話す。同じ商店街の人が困っているのを見過ごせないと思い、OKしたのだけど、自分にできるのかどうか不安になり、沙綾は、りみの前で大きなため息をついた。そもそもモデルなんてやったこともないし、ドレスも着たこともない。そんな自分が新婦役ができるのか…。
沙綾の話を聞いて、りみは沙綾を元気づける。きっかけは何であれ、やったことがない事柄にチャレンジする沙綾の勇気を褒めた。その勇気があれば、モデルの仕事もきっと乗り越えられる!沙綾はりみに励まされて、何だかやり遂げられるような気持ちに変わってきた。
沙綾は、先ほど商店街の人からもらったパンフレットをりみに見せた。可愛いドレスがいっぱい載っているのを見て、りみは大喜び。再びふたりはどんなドレスが着たいかという話になる。明日着るのはどのドレスなんだろう?お楽しみでもあるし、またドキドキの要素でもある…。
撮影当日・商店街
撮影当日を迎え、沙綾は商店街の通りを歩いていた。途中、巴とあこ姉妹が楽しそうに話しながら歩いているところに出会った。あこは巴とデートなんだと言っていたが、沙綾は予定を聞かれたけど、あのことは二人には言えなかった。急ぐからと告げ、足早に通り過ぎる沙綾だった。
第3話 1日だけのパートナー
結婚式場
結婚式場に着き、沙綾は、挨拶を言い終わらないうちに、薫の姿を見つけ、どうして薫がここにいるのか尋ねる。薫は、いつものように薫らしく返答するのだけれど、沙綾には意味が通じていないのだ。少し慌てているところへ、カメラマンや商店街の人がやってきた。そして、薫が新郎役になったいきさつをかいつまんで話して聞かせた。それを聞いて、驚きが隠せない沙綾だったが、知らない人が相手ではなくてよかったと告げる。
1時間後・結婚式場 場内
着替えを済ませ、沙綾はドレス姿で緊張気味に場内に移動する。すると、そこには香澄たちが来ていた。実はりみがみんなに教えていたのだ。香澄は、沙綾が心配で様子を見にきたんだと話す。そして、ドレスが沙綾のイメージにピッタリで、とっても似合っていると口々に褒める。さっきまで緊張していた沙綾だったが、みんなのおかげでリラックスすることができた。
さて、新郎役は誰なんだろう?みんな気になっていたけど、沙綾が、みんなが知っている人だと言うので、誰だろうと考えていたところに、今日の新郎役が登場した。
薫の新郎姿を見て、みんなは驚く!怖いくらい似合っている!そして、カッコいい!りみは、思わず声をなくしてしまう!めちゃ、カッコよすぎ~。そこへ薫から「ありがとう、可憐な子猫ちゃん」なんて言われ、もう、りみの頭の中は大混乱状態だ…。
第4話 華麗なエスコート
結婚式場 場内
いよいよこれから場内での撮影が始まる!カメラマンは、2人とも祭壇の前に立って、カメラに目線を送るように指示する。沙綾は慣れないこととはいえ、緊張のあまり、表情が硬かった。カメラを観客に見立てるように言われても、撮影とステージは全く勝手が違うし、緊張したらダメだと思えば思うほど、どぎまぎして緊張のとれない沙綾だった。
すると、隣にいる薫が、沙綾に大丈夫だと安心させ、深呼吸をしてみるように促す。そして、落ち着いたら薫の手を取るようにと続ける。沙綾は、薫の声かけは嬉しかったが、今一つ言っている意味がよく分からないでいた。儚い…どういう意味なんだ??そして、意味不可解なことを続けるものだから、遂に緊張気味だった沙綾の表情からこわばりがとれ、笑い声が響いた。薫には、沙綾の笑いの意味が理解できなかった。
カメラマンから、いい表情だと言われ、今度は二人が見つめ合っているシーンの撮影に入った。薫はまた意味不明なことを発し、沙綾を笑わせる。儚い…とは一体どういう意味なの?薫の言い回しがおもしろくて、沙綾は笑ってしまう。有咲は、薫のセリフをキザだと言い切る。たえは、「儚い」の意味を考えている。りみはと言えば、2人を本物の新郎新婦のように思えて、憧れを持って眺めている。
いい写真が次々に撮れ、休憩をはさむことになった。
結婚式場
気分転換も兼ねて、沙綾は外の空気を吸いに場内から出てみた。外では、ちょうど巴とあこが見学に寄っているところだった。あこがもっと近くで見てみたいと言うので、オープン前だし、中で準備をしているかもしれないということで、少しだけ覗いてみることにした。
そして、視線の先には、沙綾の可憐なウェディングドレス姿があった。
第5話 乱入は突然に
結婚式場
ウェディングドレス姿の沙綾を見た巴とあこは、本当に驚いてしまった。どうして沙綾がウェディングドレスを着ているんだ?あこは沙綾が誰かと結婚するのかと思ってしまった。まだ高校生なのに?でも16歳の誕生日を過ぎれば、結婚はできる…。さっき出会った時に、ちょっと様子がいつもと違っていたけど、あれ、マリッジブルーだったってこと?
さらに、視線を移すと、沙綾に近づく人影が。沙綾の隣にいるのが薫だと分かり、2人は混乱する。沙綾と薫が結婚するの?それはないとしても、一体どうなっているのか…。
休憩後は、外での撮影が始まる。薫はそれを伝えに沙綾のところに行っただけのこと。だけど、事情を知らない2人はますます混乱。何事も本人に聞いてみないことには分らない…というわけで、2人はその理由を確かめるため、2人の元へと急いだ。
沙綾は薫のエスコートでポーズを作っていると、薫が、紗綾の手がきれいだと褒めてくる。シェークスピアの解説付きで、不思議な言い回しをする。だけど、沙綾も段々と薫のことが分かってきて、笑顔になる。そんな2人の雰囲気が、遠目から、ただ事ではないように見えたのか、突然、巴が乱入を決行する。
ちょーっと待ったー!!
ものすごく驚いている巴とあこに、沙綾は事の次第を説明しようとするが、突然、薫が役者めいてきて、薫のセリフに巴とあこは、二度驚き、言葉をなくしてしまう。完全に役に入り込んでしまった薫…。さて、この状況をどうする?
エンディング 感動のフィナーレ?
結婚式場
巴は、薫に状況がよく分かるように説明を求めた。薫は、説明なんていらないと。見ての通り、姫と王子…と続けるのだが、さっぱり意味が分からない。仕方なく、沙綾に尋ねてみるが、沙綾も説明どころか、この状況にはまいっているようだ。
外が騒がしいので、何事かと駆けつけたポピパのメンバーたち。沙綾と薫の恰好を見て、巴たちは何か勘違いをしているのだろうと推測はつくのだが、何がどうなっているのかきちんと説明しなければ。一番冷静に対応できるのが有咲。
有咲は、説明を始める。まず、沙綾と薫がこの格好をしている理由は、撮影の手伝いをしているから。結婚式場のポスターを作成するために、沙綾がモデルを頼まれた。2人はただの、モデル。
そうか、モデルか…本当に結婚するのかと思ったと巴とあこ。
30分後
そして、みんなの見守る中、無事に外での撮影が終了した。巴とあこは、早合点したことを2人に謝る。沙綾は巴の慌てようを初めて見たと茶かす。巴も恰好がつかないのか、バンドメンバー達には黙っていてくれるように沙綾に頼む。特にモカが知ることになると大変だからね。薫は、巴たちのおかげで、刺激的な時間が過ごせたと。やっぱり言うことが薫らしい。
数日後・商店街
沙綾は、商店街の一角で、結婚式のポスターを見つけた。結婚式場の撮影では、本当にいろいろな出来事が起きたけど、無事に終わったのも、みんなのおかげだと、沙綾は回想する。
商店街のおばちゃんたちが、沙綾に、ポスターを見て、ついに沙綾も結婚する年頃になったのかと、そして、薫がイケメンだし、いい男を捕まえて…さすが沙綾ちゃんだ…などと話しかけてくる。絶対、絶対におばちゃんたち、勘違いしてる!違うんだってば~、結婚なんかしてないから~~。
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