第6話 私に、何ができるんだろう?
練習後・スタジオロビー
出演が決まった勢いでスタジオ練習に入ったメンバーたちだったが、ライブの内容についてもみんなで話し合っておかなければ!と巴が提案する。共演するバンドには、そこそこの知名度のあるバンドばかり。中にはメジャーデビューを控えているバンドも。やっぱりすごいバンドばかりで、きっと上手いに違いない。つぐみはやっていけるのか少々不安になり、顔が曇る。すると、蘭が、イベント内容や会場がいつもと違っても自分たちは「いつも通り」の演奏をするだけだと言って安心させる。
次に話題は、当日のセットリストに移ったが、これ以上みんなに置いていかれないようにしようと考えるつぐみ。楽器も上手くないし、ひまりのようにみんなをまとめることもできないし、自分に何ができるのだろう?と心の中で考え、ため息をついた。蘭が、疲れているのではないかと心配する。話し合いは急ぐこともない。だが、みんなに心配をかけたくないのか、つぐみは急に元気な素振りを見せる。
セットリストも無事決まり、今度の練習で実際にこの流れで演奏してみることになった。ガルジャムでは、レコード会社の偉い人も来てその場でスカウトされることもあるらしい。ひまりは、もしかしたらこのライブをきっかけにして、数年後には超有名人になっているかもしれないと夢物語を語る。数年後いったいAfterglowはどうなっているんだろう?メジャーデビューという可能性だってあるかも…。
蘭は、今のままこの5人でバンドができればいいと控え目である。巴も同じ意見。何年経ってもずっとこのメンバーでバンドができればいいと蘭をフォローする。5人ともみんな同じ考えだ。蘭は、今は、目の前のライブに向かって進みたいと語る。自分の将来や家のことなど悩みはいろいろあるだろうに、10年来の友達がここにいるっていうのに、その悩みをいつまで一人で抱え込んでいるんだろうと、ややじれったく思う巴だった。
第7話 消えた魔術グッズと雨
スタジオ
ライブまであと2週間と迫った。みんなはどんどん上手くなっていってるのに自分だけは…と悩んでいるつぐみ。そろそろ練習が終わる時間だけど、つぐみは残って練習していくことにした。蘭は、無理をしないようにとつぐみを気遣っている。みんなを送り出して、つぐみは、早くみんなに追いついて、ライブを絶対に成功させなくては!と張り切っていた。
翌日・羽丘女子学園 1-B教室
今日の授業中もずっとぼーっとしてしまってダメだなあと思っているつぐみ。昨日の練習がすぎたのかもしれない。巴が顔色が悪いと言って心配するのだが、今日は生徒会があるから練習は少し遅れると伝える。
放課後・羽丘女子学園 校門前
校門前では、ひまりが巴を待ち構えていた。昼間から体調がよくない風に見えたつぐみを心配するひまりと巴。気になるので、生徒会室に様子を見に行ってみることにした。
スタジオ
一方スタジオでは、先に来ていた蘭たちもつぐみのことで心配顔。モカは、ふとギターケースに目をやり、ひまりの作ってくれた魔術グッズがなくなっていることに気付いた。大事なお守りはどこへ行ってしまったんだろう?
羽丘女子学園 生徒会室
ひまりと巴は、生徒会室に入ってみた。つぐみは、ちょうど資料の作成を頼まれているところだった。会議が終わったら、これから急いで練習に行かなきゃと思うのだが、意に反して身体が思うように動かない。どうしようと思った時、つぐみは倒れ込んでしまった。巴の指示で、救急車を呼び、スタジオの蘭たちにも連絡を急いだ。
スタジオ
お守りを探すのは後にして、蘭が練習を始めようと誘うのだが…。モカは気分が乗らない。すると、蘭に巴から電話がかかってきた。
第8話 中途半端なごっこ遊び
巴から電話を受けた蘭は、つぐみが過労で倒れ、さっき病院に運ばれたということをモカに伝える。2人は練習を止め、帰ることにする。
病院
付き添っていた巴たちが病院を後にする。倒れた時はどうなるかと思ったが、大したことなくて本当によかった。2,3日休めば回復するとのこと。ひまりは、つぐみが倒れた時の自分の対応の悪さを思い出し、もっとしっかりしなきゃ!と自分を責める。そして、つぐみの疲れた様子を知っていたのだから、もっとちゃんと休むように言えばよかったと後悔している。
それに対し、巴は自分の隣にひまりがいてくれてよかったと。一人だったら不安で何もできなかったと思う。ひまりがいてくれたから、ちゃんと対処できたんだと。自分ばかり責める必要はないと、巴はひまりのホッペを優しく引っ張る。
帰り道
一方、モカと蘭は帰り道、つぐみの容態を心配している。何も話せず蘭は家に着いた。モカは蘭にさよならを言って、ため息をつく。
美竹家 リビング
蘭が帰宅すると、父親が待ち構えていた。
今日もバンドだったのか?華道ともロクに向き合えないような人間が他のことをまともにできるとは思えない。蘭がやっているバンドは、中途半端なごっこ遊びにすぎない。ごっこ遊び程度のことなら辞めろ!今のお前は反抗したいだけだろう?バンドを続けてどうなる?華道のことはどうするつもりなんだ?反抗の言葉を並べたところで、現実は変わらないぞ。
父親の言葉に、ますます心を閉ざす蘭。バンドはごっこ遊びなんかじゃない!でも…。反抗…、確かに今の自分はそうかもしれないのだけど…。
第9話 関係なくなんかない
翌日・羽丘女子学園 1-B教室
メンバーたちが集まって何やら話している。今日一日、蘭の姿を見てないことに気付いた巴とひまりだったが、モカは蘭が屋上にいることを知っていた。最近は、屋上にいる回数が減ってきていていい状況だと思われていたのだが…。
本番まで時間も限られているため、今日から練習を再開することになった。つぐみはまだ来られないが、自分たちだけでもできることをやろうということになり、つぐみが安心して戻ってこれるような土台を作ることにした。
羽丘女子学園 屋上
屋上で、蘭は一人考え事をしていた。後ろから蘭を呼ぶ声がする。モカが、練習に行こうと誘う。先に行っててほしいと伝えるが、モカは、どうせ怒られるなら二人一緒の方がいいとモカなりの気遣いをする。すると、蘭は、家ではいつも怒られているし、一人で怒られ慣れていると話し始める。
昨日、父さんにバンドのこと、ごっこ遊びみたいだと言われた。ごっこ遊び程度のものなら辞めろと。自分はバンドのことをごっこ遊びだなんて思ってない。バンドを辞めるつもりもないし、華道だって継ぐつもりもない…。そう言っているのに…。
父親に自分の気持ちを分かってもらえないじれったさに、つい大きな声になってしまう蘭。それを聞いていたモカは、どう声をかけたらいいのか…言葉を失う。
スタジオ
蘭は後から来るという伝言を受けて、巴とひまりは、蘭のことが心配になる。だいぶ、遅れて蘭が練習にやってきた。思わず、ひまりは蘭に、心配していたことを言葉にする。蘭は別に心配されるようなことはしていないと返す。授業に出ないで屋上で一日過ごしていたと聞いたんだけど…。蘭が授業に出てないことが心配でたまらないひまりは、何かあったのではないかと、さらに尋ねようとするのだが、蘭は突っぱねる。授業に出てないからって、ひまりには心配はかけてない!
それをそばで聞いていた巴は、蘭の言い方が気に入らなかった。そんな言い方はないだろ?
心配なんかしなくていい。自分が何をしようが、どうなろうがみんなには関係ない…!
勝手なことばっかり言うのもいい加減にしろ!みんながどれだけ蘭のこと、心配してると思っているんだよ!?アタシら、幼馴なじみだろ?そこらのヤツより、よっぽど蘭のこと分ってるつもりだよ。それを関係ないって…どうしてそんな風に言えるんだよ…!?蘭の家がどういう家なのかだって知ってる。将来のこととか、きっといろいろ一人で大変な思いをしているんだろうなって思っている…!だけど、蘭は自分たちに何も言わないから…!
巴の強い言葉に、言葉を飲み込み、スタジオを出ていく蘭。巴は言い過ぎてしまった自分を悔やむ。蘭もいろいろと重なって大変なんだ。今日の蘭はちょっと気持ちが高ぶっているだけ。きっともう1回話せば、きっと分ってくれるから…となぐさめるひまり。
巴も、今の気持ちを抑えきれないのか、外の空気を吸いに出ていってしまう。モカは、蘭を探しに外に…。一人スタジオに残ったひまりは、どうすればいいのか分らず、ただただ心配な気持ちが深まる。
第10話 似た者同士
帰り道
ひまりはずっと考えていた。結局あの状態から、練習が再開できるわけでもなくて…みんな、何を言うわけでもなくバラバラに解散して…一人で帰ると、帰り道がこんなに長く感じるなんて思ってもみなかった…物心ついた時からずっと5人一緒にいたから、一人がこんなに寂しいものだなんて初めて知った…みんなが飛び出して行った時、自分は何もできなかった…これでリーダーだなんて…。またみんなで一緒に演奏できるよね…。と、一人寂しく考え事をしながらの帰り道だった。
翌日・コンビニ
同じバイト先で、モカとリサが働いている。いつもに増して挨拶が適当になり過ぎているモカ。どこまで言葉を崩せるかチャレンジ中なのだとか言いながらリサの笑いを取る。しかし、どことなくウカナイ顔のモカ。モカは、悩みをリサに聞いてもらいながら、悩みをぶつけてきた蘭に対して自分がどんなリアクションをしたのかについて考えてみた。自分は、蘭が辛いことがあったら聞いてあげて、それで、できるだけ蘭が辛くならないようにしてあげようと思っていて…と話し始める。
モカは、蘭にバンドを辞めてほしくないのだ。蘭と一緒にいたいし、そのために家のことと向き合ってほしいし…と自分の思いを言葉にしてみる。リサがアドバイスしてくれたように、今自分が思っていることを全部、蘭に伝えればいいんだ。
「蘭のことが本当に大切なら、隣にいるだけじゃダメ!蘭を大切に思っているのなら、蘭が間違った方向に行かないように導くのも親友の役目だ」
リサの言葉を心の中で反芻しながら、さらにモカは考える。蘭に一度きちんと話してみよう…。
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