第14話 隣にいるだけじゃ
病室
蘭の発した言葉に、思わずみんなは驚いてしまう。泣きそうになりながら、やめたくないと意思表示する。が、やはりその場に居たたまれなくなり、部屋から出ていこうとする。
モカはいつだったかバイト先でリサから言われた言葉を思い出した。蘭のことが本当に大切なら、隣にいるだけじゃダメなんだ!蘭が間違った方向に行かないように導くのも親友の役目なんだ…。
モカは、蘭の腕を掴み、一呼吸おいてから、蘭に向かって「蘭の腰抜け」と…。言いたいことも言わずに、また飛び出して行こうとするのは、腰抜けっていうんじゃないのか?自分たちとも向き合えないようなやつがお父さんと向き合えるわけがない。蘭のヘタレ。
モカは、思いつく言葉を片っ端から蘭に浴びせる。殆どケンカ腰の言い争い。すると、2人を止めようとするひまりを巴が止める。そして2人の言い争いの落ち着き先を見守もろうとする。
蘭は、自分をけなしてくるモカを最低だと思う。そして、ひまりがたまらなくなって、2人に声をかけた時、今度はモカの矛先がひまりへと…。蘭の矛先も巴に向かい「カッコつけるな」と言い、みんなの気持ちはバラバラになってしまいそうになる。
じっと静観していたつぐみが、みんなに落ち着くように声をかけようとすると、横からまたモカが、カッコつけマンなのは蘭も巴も一緒、限界がきたらいきなり爆発して、似た者同士なんだと言う。今度は蘭と巴が火花を散らす。ここが病室だっていうのに、つぐみは感情を高ぶらせてしまった2人を諫めることができなかった。蘭と巴の言い争いはますます悪化する。
ついに、婦長が病室に現れ、蘭たちは静かにするようにと注意を受けた。一同はやっと目が覚めたように、声を揃えて謝罪する。そして、モカがプッと吹き出す。それにつられて、巴もひまりもつぐみも…。そして、蘭も…。みんなの笑い声が病室に響いた。
一体何の話をしてたんだっけ?言いたくても言えなかったこと。心に溜め込んでしまった思いを一気に吐き出してスッキリした5人。再び巴は、あの時言い過ぎてしまったことを蘭に謝る。すると、蘭も急に飛び出してみんなに心配をかけたことを謝る。
そして、本当にバンドを続けたいという思いを言葉にした。辞めたりなんかしたくない!!初めてライブした後みたいに、みんなで夕焼けをまた見たい。これからもずっと、一緒に…だから…決めた。バンドが続けられるようにお父さんと話をしてみると。
それを聞いて、みんなは本当に嬉しい気持ちになった。お互いのことが大事過ぎて今まで言いたいことが言えなかったのかも。でも、今日からまた「いつも通り」だ!
第15話 自分の思い
数日後・美竹家 玄関前
蘭は、バンドを続けるために、父親と向き合う決心をした。他のメンバーは蘭のことが心配でたまらない。それで、一緒に付き合おうかとまで言ってくれるが、蘭はだいじょうぶだと言い切る。メンバーたちは、蘭をそっと見守りたい一心で、玄関先で事が終わるまで待つことにした。
美竹家 リビング
蘭はリビングで、父親と向き合い、じっくりと自分の気持ちを伝えようとしている。
蘭の方から切り出す。バンドは辞めない!これからもずっと続けていく。父さんはバンドをごっこ遊びだと言うけれど、自分たちは本気でやっているのだと。そして、蘭は父親にチケットを渡す。そう、ガールズバンドジャム。このイベントを父に見てほしいと懇願する。蘭たちは、今このイベントに向けて全力投球なのだ。だから自分たちの本気を見てほしいのだ。そして、納得してほしいのだ!
…ライブが終わったら、真剣に華道のことも考えたいと思っている。もっとちゃんといろいろなことに向き合って、答えを出していきたいと蘭は自分のありのままの気持ちを父親に伝えた。
蘭の父親は、蘭を信じ、一言「わかった」と。
父は見に来てくれる!父親を納得させてみせる!今までは逃げてきたけど、今日はちゃんと逃げずに自分の思いをぶつけることができた。分ってくれた父に、蘭はそっと「ありがとう」と伝える。
第16話 キレイな夕焼け
美竹家 玄関前
ひまりたちは、蘭の玄関先で待っていた。蘭は、自分の気持ちをうまく父親に伝えることはできたのだろうか?みんなそれぞれに蘭のことを心配している。
ひまりは話し合いが上手くいかなくて、長引いているんじゃないかと心配するが、モカは逆に話し合いが上手くいったから嬉しくて泣いているんじゃないか。だから目の腫れがひいてから出てくるんじゃないかと待っている。すると、玄関先から蘭が出てきた。
蘭は父親がガルジャムを見に来てくれることになったこと。ライブで本気を見せて納得させるつもりだということをみんなに話す。そして、スタジオを目指してそそくさとみんなの先を歩いていく。
本当に素直に話せない蘭。ともかく蘭はバンドが続けられるということだ。モカは蘭が目を赤くしていることに気付き、さっきまで安心して泣いていたのでは?と尋ねる。蘭は、泣きそうになるのをぐっと堪え、泣いてないと返答。さらにモカは、ごまかせないぞ~と蘭に。蘭はみんなの前で涙ぐむ。
巴は蘭の頭を抱き、不安だったのに勇気を出して父親から逃げず、自分の思いを初めてきちんと伝えたことを褒めた。その巴の言葉に、蘭は再び涙ぐむ。そして、初めて素直にみんなに感謝の言葉を伝えた。
きれいな夕焼けがAfterglowの5人を包む。ひまりは、ライブを絶対に成功させることをこの夕日に誓おうとみんなに提案する。そしてひまりの大きな掛け声が響いたが、後に続く声はなかった。だけど、蘭だけが、小さな声で「オー」と。またまたモカが蘭をからかう。これでまた5人の「いつも通り」に戻れる。
スタジオ
スタジオでは、久しぶりの練習だったせいか、いつもより練習に力が入った。
スタジオロビー
蘭はやはりロビーにいた。モカはいつも蘭のことを見守ってくれている。モカはみんなで再び夕焼けを見られてよかったと蘭に話す。そして、バンドに戻ってきてくれたことに感謝する。蘭もバンドで活動できることを心から素直に喜ぶことができた。
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