第4話 ボロボロのスコア
数日後・スタジオ
あこは、今日もバンドに入れてくれるように友希那に頼むのだが、あっさりと断られる。
数日後
再び、あこは友希那に頼むが、横で紗夜がそろそろ諦めるように、そっけなく告げる。あこは本気なんだけど、その気持ちがなかなかこの二人には伝わらない。
宇田川家 リビング
あこはがっかりして燐子に話を聞いてもらおうと考える。
白金家 燐子の部屋
燐子はあこからのチャットを見て、また断られたことを知る。言葉だけじゃ伝わらないのかもしれない。友希那の歌を好きになった瞬間のように音で伝えられたらいいのにと燐子は話す。あの歌を聴いた時すごいと思った。あの感覚は言葉だけじゃ上手く表せないと思う。バンドって、そういう感覚でつながるってことかもしれない。
あこは、燐子の言葉に、ちょっと分かったような気がした。そこへ巴が帰宅する。そして、あこが今日も不発だったことを表情から読み取った。ギターの紗夜がぴしゃりと言い放った言葉。だけど、認めてもらえるまで頑張るんだとあこは姉の巴に話す。
巴は、湊友希那とバンドを組んだという紗夜のことだと聞き、驚く。そして、友希那がリサの親友であることをあこに教える。すると、あこもそれを聞いてビックリする。
数日後・羽丘女子学園 校門前
リサは、友希那が紗夜とバンドを組んだことを知り、驚く。まだギターとボーカルだけだが、コンテストに向けて、新しい曲も出来上がってきていることをリサに話す。友希那は本気だ。ただFUTURE WORLD FES.に出たいという目標が一致したから組んだだけだと話す。リサは友希那の話を聞いても、バンドを組むことは止めなかった。止めたところで、簡単に止めるような友希那ではないことをリサは誰よりもよく知っている。
そこへ、あこが現れた。本気でバンドに入れてくれるように頼み込む。あこは、友希那の歌う曲を全部叩けるように練習をたくさんしてきていたのだ。だから、1回だけでいいので一緒に演奏させてもらえるようにと真剣に頼み込む。それでダメだったら諦めるという。
リサは、あこの使っているスコアに目をやり、こんなにボロボロになるくらいに何度も何度も練習して、あこが本気で臨んでいるんだということを代弁してくれた。あこは、やるときはやる子なんだ!リサは本気のあこを初めて見たから応援したくなったのだった。
友希那はため息をつき、1曲セッションするだけだとあこに告げる。大喜びのあこ。そして、友希那のバンドが妙に気になるリサも、セッションを見学することになった。
第5話 バンドのキセキ
スタジオロビー
スタジオに入ると、リサは懐かしさを感じた。中1の時が最後でそれからずっとやらなかったから。そこへ、紗夜が現れる。そして、あこはドラムのオーディションをしてもらいに来たことを伝える。
スタジオ
紗夜が、できればベースもいるとリズム隊として総合的な評価ができるのだけど…と話す。それを聞き、リサは自分が弾くことを提案してみる。そして、ベースを借りに走る。紗夜はリサの腕前が大丈夫なのか心配するが、友希那は、リサが譜面通りに一応演奏できる力は持っていることを伝える。
それから、いよいよ1曲だけのセッションが始まった。演奏しながら、紗夜は見えない力に引っ張られるみたいに自然に指が動くこの感覚にハッとしていた。リサも、しばらくベースには触れていなかったのになぜか曲に乗れるこの感覚に。あこも練習の時よりも上手に叩けるこの不思議な感覚に気づいていた。友希那も紗夜もこの感覚に言葉をなくしていた。
あこはだんまりの二人の様子を見て、バンドには入れないのではないかと心配したが、何の反対もなく、すんなりと合格してしまった!初めて合わせたというのに勝手に身体が動いていつもよりノリもよく演奏できたこの不思議な感覚に驚いていた。リサも同様の感覚に浸っていたことを言葉にする。
その時その瞬間にしか揃い得ない条件下でだけ奏でられる音…バンドの醍醐味と言うか、ミュージシャンの誰もが体験できるものではない…そんな奇跡のような貴重な体験が今できたことに感動しているみんな。
後はベースとキーボードさえ揃えば…と考えていると、あこが、この4人でバンドを組もうと誘う。どうやらリサも合格らしい雰囲気が漂っている。
第6話 それぞれの想い
白金家 燐子の部屋
あこは燐子相手にまたチャットを始めている。あことリサが友希那のバンドに加入してもいいと言われたことを伝える。燐子は嬉しそうにあこのオーディション合格を祝う。あこのこれまでの努力が実ったのだ。しかし、どうも努力だけではないような…。曲が始まったら勝手に身体が動き出し、いつもに増して上手く叩けたことやリサがこれはマジックだと言ったこと、それに他のメンバーもいつもより上手く演奏できたと言っていたことなどを逐一燐子に話す。
そんなあこの話を聞いて、燐子はバンドってすごいなと思う。燐子も昔からずっとピアノは弾いてきて、ピアノは大好きだけど、誰かと一緒に演奏するなんてことはちっとも考えたことがなかった。
みんなで集まると、何が起こるかわからない!奇跡ってこういうことなんだな。
あこは嬉しくなって、燐子にも何か音楽を始めてみたらいいと勧める。燐子は、あこのバンドの話に興味があった。聞いているだけでもなぜか楽しくなってくる。
氷川家 紗夜の部屋
紗夜もまた、今日のセッションのことを思い出していた。とっても不思議な体験だった。そこへ、妹の日菜がやって来る。紗夜が見ていたFUTURE WORLD FES.のサイトを覗き込み、興味を持つ。双子の妹である日菜は姉の紗夜と同じことがしたいと思っている。だけど、姉の紗夜はそれが気に入らない。いつも妹は自分のまねをして、同じことをして…。もう高校生なんだからお互いに干渉しないようにしようと約束をしたというのに、自分と同じことをしたがる妹が気に入らなかった。そして、日菜に自分の部屋から出ていくように言う。
フェスのことを日菜に知られるのが嫌な紗夜だった。知れればきっと、日菜は自分のまねをして必ず自分も出ると言ってくるはず。そして、今までもしてきたように紗夜の努力を、軽々と才能で追い抜いて行く…。比べられるのはもうごめんだ。だから今度こそは…必ず頂点を取ってみせる…。
今井家、湊家の前
リサは、友希那のバンドに入ることになり、いささか驚きの展開だと喜んでいる。リサは、友希那を放っておけないのだ。自分には、友希那を一人にさせないという使命があるからバンドも頑張るんだと主張する。ただ、リサは友希那のそばにいて見守っていたいだけ…。ただ、友希那が昔のように、ちゃんと笑えるようになるまで…。
それに対し、友希那は厳しいことを告げる。…ついて来られなくなったら、いくら幼馴染だとしても…抜けてもらうから…。バンドメンバーが揃ったら、FUTURE WORLD FES.出場のためのコンテストに出る。メジャーで「売れる音楽」を強要され、苦しんでいたお父さんを切り捨てたあのフェスのせいで、お父さんはやむなく音楽を辞した。だから、友希那は絶対に失敗は許されないのだ。だから、リサが足手纏いになることも許さないのだ。
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