第1話 妥協のない完璧なバンド
羽丘女子学園 校門前
リサは、これから新しくできたというアクセショップに行くので、友希那も一緒にと誘う。ところが、友希那ときたら、「いきなり興味ない、急ぐから」などとそっけなく行ってしまう。先を急ぐ友希那にやっと追い着く。リサは友希那の幼馴染である。友希那はリサに話す。アクセサリーショップは行かない。歌うこと、音楽以外のことに時間を使いたくないと言うのだ。しかし、アクセショップは、ライブハウスの先だから、そこまでは一緒に行こうということになった。
駅前
駅前では、燐子があこを待っている。燐子は人混みがとても苦手。やっと来たあこと合流して行こうとした矢先、紗夜のギターケースに当たってしまう。きっとバンドか何かやっているのかな。あこもバンドをやりたいなと思っている。あこはバンドをやっている姉の話をよく燐子に聞かせてくれる。バンドなんて燐子には想像もつかない世界である。
一方、リサと一緒に行くことになった友希那は、音楽のことで気持ちがいっぱい。毎日いろんなライブハウスに通い、バンドのメンバーを探しているのだった。今年の「フェス」に向けたコンテストのエントリー受付はもう始まっている。条件は3人以上。今年こそ見つけるんだと友希那は話す。友希那は、お父さんのためにやると決心しているのだ。あのFUTURE WORLD FES.で自分の音楽を認めさせてみせると意気込んでいる。
リサは、音楽のことで友希那が辛い思いをするのは見ていられない。ただ、少しでも友希那には笑っていてほしい。もう長いこと友希那の笑顔を見ていない気がする。音楽をやる気持ちは分かるけど、友希那には自分を追い詰めないでほしいとリサは願っている。
でも、友希那はただ自分のしたいことをしているだけだと続ける。しかも、真剣に。やるからには全てを賭ける。妥協のない完璧なバンドを作るには楽しさなんていらないと考えている。そんなことを話しているうちにライブハウスに着き、友希那は行ってしまった。
リサは、友希那が相当な覚悟を決めて音楽に没頭していることを知っている。だから、最後までその友希那の覚悟を見守ることを心に決めたのだった。これから友希那がやろうとすることは、本当にお父さんのためになることなのだろうか?それは、本当に友希那がやりたいことなのだろうか?といろいろと考え込むリサだった。
第2話 あなたと私が組めば
ライブハウス
友希那はライブハウスで演奏を聴いている。このバンド、ギターだけが上手くて、後は話にならない。バランスが悪すぎる。でも、あのギターを弾いている子は、あのフレーズが弾ける技術もさることながら、土台になる基礎レベルが尋常ではない。普通に練習して身に付くレベルどころか…一体毎日どれだけ弾いているのだろう?そんなことを考えながら演奏に聴き入っていた友希那。
ステージでは、演奏が終わり紗夜がステージ挨拶を済ませたところ。観客からの歓声が響く。そしてまた友希那に対する中傷めいた言葉も…。何と言われようと別に構わない、自分はやるべきことをするだけ…。
スタジオロビー
スタジオロビーでは、紗夜のバンドのメンバーたちと紗夜の間で、何やら揉めているような声が聞こえてくる。「…事実を言っているだけ。今の練習では先がない。バンド全体の意識を変えないと…。いくらパフォーマンスで誤魔化しても、基礎レベルを上げなければ後から出てきたバンドに追い抜かれる。」そんな風に聞こえる。しかも、自分と同じ考え方で、同じ高校生。
同じ場にメンバー以外の客がいることに気付いた紗夜は、すぐに謝る。すると、友希那が、先ほどのステージを見たと切り出す。すると紗夜は、ラスト曲のアウトロで油断しコードチェンジが遅れたと話し始める。友希那は唐突に紗夜に提案する。
「私とバンドを組んでほしい」
カフェテリア
燐子とあこは、ライブハウスに隣接したカフェに席を取っていた。隣から大きな音で音楽が漏れてくる。あこは部活での出来事を話題にするのだが、燐子はまるで聞いていない。さっきから大きな音が気になっていて…。
スタジオロビー
スタジオロビーでは、友希那の提案には即答できないと答える紗夜。すると、友希那は簡単な自己紹介をした後で、FUTURE WORLD FES.に出るためのメンバーを探していると切り出す。紗夜もまたFES.には以前から出たいと考えていた。しかし、いくつもバンドを組んできたが、実力が足りず諦めてきたことを話し始める。それなりの実力と覚悟のある人とでなければバンドを組むことには賛成できないと伝える。
もうすぐ友希那の出番になるので、聴いてほしいと紗夜に頼む。しかし紗夜は、たとえ実力があったとしても、音楽に対しどこまで本気なのかということは一度聴いたぐらいでは判断できないと反論する。友希那は、フェスに出るためなら何を捨ててもいいと考えていること、紗夜の音楽に対する覚悟と目指す理想に、自分が少しでも負けているとは感じていないことを伝える。
ようやく紗夜は、友希那の曲を一度だけ聴くことに同意してくれた。
第3話 世界で2番目に上手いドラマー
カフェテリア
カフェテリアでは、あこが燐子にライブハウスのことを教えている。あこは、最近ついに「カッコいい人」を見つけたんだとノリノリで話す。そして、燐子の機嫌を取りながら、ライブハウスに行こうと誘う。人がたくさんいるところは燐子は苦手だということは知っているはずなのに。ドリンクカウンターの近くなら空いていて平気だと燐子を誘う。無理だと言っている燐子を半ば無理矢理に手を引いて入ろうとするあこ。
あこの「超かっこいい人」とは、友希那のこと。一度聴けば、燐子も絶対にハマるはずだと自信をもって話す。
ライブハウス
ライブハウスのドリンクカウンター近くにやってきたあこは、ビックリする。燐子がまさに青ざめた顔をして、言葉をなくしていたからだ!紗夜は、騒がしくしているあこと同じクラスに在籍している燐子に気付いた。そして、静かにするように注意する。
やがて、友希那のステージが終わり、紗夜は心を打たれる。こんな歌声は聴いたことがない。言葉一つひとつが、音に乗って情景に変わる…色になって、香りになって、会場が包まれていく…本物だ!やっと見つけた!
ライブ後
友希那は、どうだったのか感想を紗夜に尋ねる。今まで聴いたどの音楽よりも…友希那の歌声は素晴らしかった。そして、一緒に…FUTURE WORLD FES.に出たい。友希那となら頂点を目指せる!本気でそう思った。
ライブハウス前
友希那はライブハウスの練習予約を入れてもよいかと早々に紗夜に尋ねる。バンドのメンバーはまだ、2人だけ。ベースもドラムもキーボードもまだ揃っていない。急いで実力と向上心のあるメンバーを見つけ、練習時間を確保しなければ…。そして最高の曲を作り、最高のコンディションでコンテストに挑む…。紗夜は友希那と出会い、いい音楽が作れそうだと喜ぶ。
あこたちは、友希那の姿を見つけ、いきなりだが、あこは友希那にバンドを組むのかと単刀直入に尋ねる。そして、あこもバンドの仲間に入れてくれるように頼むが、即答で断られてしまう。
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