第7話 ルンっとくる特訓
芸能事務所 会議室
彩は、研究生時代に教わったレッスンを事務所のレッスンとは別に、みんなも一緒にやってみないかと誘う。基礎体力をつけるレッスンならバンドをやる時にきっと役に立つはずだし、今の自分たちにできることは全部やり備えておきたいと考えているのだった。
彩のその考え方に共感し、イヴも特訓をしてみようと思った。日菜は別にやらなくてもできそうだけど面白そうだからということで賛成。麻弥も、まだアイドルがなんたるかはよくわかっていない、だから彩から教えてもらいたいということで賛成。千聖は個人の仕事の関係で事務所のレッスン以外は出られないと告げる。5人のペースが揃わず、ちょっと残念な気持ちもあるが、仕事ならば仕方のないこと。
芸能事務所 廊下
千聖が参加しない理由は、もっと別のところにあった。見込みのないものに対して、自分の時間を費やすことはしたくなかったのだ。同じ時間をかけるなら、より確実なものを手に入れたい…。千聖はスタッフに相談を持ちかける。
芸能事務所 レッスンスタジオ
レッスンスタジオでは、早速彩率先の特訓が始まろうとしていた。イヴは何を勘違いしているのか、滝行をするのだと思い込んでいる。違うと彩に言われ、では、寒中水泳か?と。彩から今日のメニューを聞く。ランニング、腹筋、腕立てなどの基礎体力トレーニング…。それを聞いて麻弥はすごく驚く。そんな体力がアイドルになるために必要なのか?
歌に踊りに、ステージに立つには体力がいるから、楽器を演奏するとなると、さらに体力が必要だろう。彩はそう考えているのである。日菜は彩のメニューが地味すぎると思ったのか、ルンっと来るもっと楽しくなるようなメニューはないのかと彩に尋ねる。では、決めポーズの練習をしてみようかと。日菜がお手本が見たいというものだから、まず彩がやってみせる。
残念ながら、彩のこの決めポーズ、みんなには受けなかったようだ。そこで、それぞれ自分なりの決めポーズを考えてみることになった。
第8話 新たなトックン
数日後・芸能事務所廊下
千聖はスタッフに再び相談を持ちかけた。それは、お披露目ライブに関しての中傷記事を取り下げるように各媒体と交渉してもらうことだった。あのような記事が出ている限り、Pastel*Palettesの名前は傷ついたままであるし、この状態が続くならばステージには二度と立てないのではないかと。千聖はもっと突っ込んだ話がしたかったのだが、途中でスタッフに電話がかかってきて話もそこまでで終わってしまった。
千聖の姿を見つけた日菜が、近づいてくる。スタッフとの話を少し聞いて、勘の鋭い日菜は、千聖の腹の内を見抜いていた。千聖がパスパレではない、別の選択肢を探しているのではないか??脱退を申し出たことに気付かれたのかと千聖はひやりとしたが、そうでもなかった。
千聖への中傷…しばらく続くのだろうか?スタッフは、むしろ悪化すると言う。Pastel*PalettesのスタッフはPastel*Palettesメンバーのことは守れるが、メンバーではない者は守れない。千聖にとっては大変厳しいものだ。今は中傷記事に耐え、バンドも続けていくという選択肢しかないのだから。
芸能事務所 レッスンスタジオ
日菜がレッスンスタジオに戻ってみると、みんなはまだ決めポーズの練習を続けていた。日菜は、アイドルって可愛くないとダメなのかと彩に尋ねてみる。彩曰く、アイドルはキラキラしていて、どんな時も笑顔で、お客さんに夢を与える存在だ。どんな人でも努力すれば夢は叶う。彩は幼少の頃、テレビに出ていたあるアイドルから勇気をもらったという話をみんなに話して聞かせる。彩自身もアイドルになり、人に勇気を与えられる存在になりたいと思ってきたのだ。そして、努力は夢を叶えてくれる…それを信じているのだ。
第9話 私の選んだ道
数日後・芸能事務所レッスンスタジオ
Pastel*Palettesのメンバーたちは、今日も頑張ってバンド練習を行っていた。音も段々と合うように上達してきた。明日は練習の成果を見てもらう日だ。よい演奏ができるといいのだが…。
翌日
思っていた通り、レッスンの先生は、演奏が上達してきたことを褒めてくれた。彩の声の伸びが前に比べてよくなっていることも褒めてくれた。レッスンが終わり、千聖を除く4人で自主練をすることになった。
30分後
休憩を挟み、再び練習開始。日菜は、彩が上手くできないことが不思議でたまらない。みんなより早く来て練習量も多いはずなのに、覚えられないのはなぜなのだろう?自主練をしない千聖ができているのに、なぜ彩ができないのか理解できないでいた。日菜はサビの盛り上がりの部分を説明するのだが、彩にはうまく通じない。
音に対する感じ取り方は、人それぞれ。感性や感覚の違いを互いに認めながら音を創造していく、これこそがバンドの醍醐味。バラバラの感性がぶつかり合って音楽が生まれるのだ。だからバンドは面白いのだと麻弥は日菜に説明する。日菜は麻弥の言葉を聞いて、彩のことが少し分かったような気がした。日菜は、もう一度サビ前から練習してみようと彩に告げる。
芸能事務所 会議室
千聖は再びスタッフに相談を持ちかけていた。千聖は、Pastel*Palettesが出演できそうなイベントを探してきては事務所に紹介してきた。スタッフも交渉してくれてはいるが、実際の出演が決まったものは1つとしてなかった。だけど、一歩ずつ確実にステージに近づいているという感覚はあった。
帰り道
帰り道、彩が、麻弥に声をかける。今日の自主練の時、日菜に説明していたバンドの話のおかげで、もう1回練習ができてよかったと話し始める。彩は、理論的に説明する麻弥のことをすごいと感じていた。だからお礼が言いたかったのだ。麻弥は彩の知らないことをいっぱい知っている。特に楽器の知識については抜群に。麻弥は謙遜するが、褒められて少し自信が持てる、そんな気がしてきて内心嬉しかった。
第10話 努力で夢は叶うわけじゃない
数日後・芸能事務所レッスンスタジオ
麻弥は、彩の入りのタイミングを褒めていると、珍しく千聖がレッスンにやってくる。そして、みんなに、ポスターを見せ、Pastel*Palettesがこのライブに出ると決まったことを報告した。彩は、このことを、みんなで頑張って努力を続けたからだと信じ込んでいる。自主練や努力の成果としてライブが決まったのだと…。
千聖は、彩の考え方が面白くなかった。彩が今までしてきたことは、研究生時代と何が違うのか?そう問われて、彩は返答することができなかった。実際のところ、研究生時代と違うことは何一つやっていない。ただ、同じメニューを頑張ってこなしてきただけ。では、なぜ今回、突然にライブが決まったのだろうか?
努力が必ず夢を叶えてくれるわけじゃない!!千聖はぴしゃりと言ってのける。千聖の言葉にメンバーは言葉をなくす。みんなの前で、こんな風に言われて、彩は、分からなくなってしまった。努力すれば夢は叶う…違う…。夢って、どうしたら叶うの?
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