第4話 消えた演奏
お披露目ライブ当日・楽屋
楽屋ウラではセットの組み換えが忙しそうに進んでいた。舞台の裏から見る観客数は、現状で1万人ほど。日菜は、この人たちに自分たちを信じ込ませるのだと考えただけで内心面白くなってきた。一方、彩は緊張感のせいで、自分のセリフが飛びそうになる。研究生の頃のステージとは訳が違う。千聖が彩の緊張に気付き…
落ち着くようにと声かけをする。今日からは研究生の彩ではなく、Pastel*Palettesの彩。今日から生まれ変わるのだ!苦手なMCだって3年間ずっと練習してきたし、歌わなくてもいいのだけど、今日に向けて歌詞もちゃんと覚えた。だから大丈夫だ!と自分に言い聞かせた。
ステージ
ステージ上では、司会がPastel*Palettesの紹介をしてくれた。いよいよ出番だ。彩は大観衆の前で、Pastel*Palettesの自己紹介を始めた。そして、最初の1曲目が始まった。ところが、途中で演奏が消えてしまう。突然、音が止まり、観客がざわつき始める。一番驚いているのはPastel*Palettesのメンバーたちだ。彩は何とかしないといけないのに声が出ない。観客席からは、もしかして今までのは口パクか?演奏もしてなかったのか?という声が聞こえてくる。
まずいと思った千聖が咄嗟に、観客に向かって機材のトラブルのため残念だが演奏ができなくなってしまったことを謝り、ステージを終わらせた。観客席からのどよめきが聞こえてくるが、こうなったら一旦はけるしかない。
楽屋
楽屋に戻ったPastel*Palettesのメンバーたち。なぜ急に演奏が消えてしまったのだろう?原因は究明中。スタッフが忙しそうに電話対応に追われている。
本当にこんなことが演奏中に起きるなどと誰が予想するだろうか?1万人の大観衆の前で嘘をつき、それがバレてしまったという現実。Pastel*Palettesは一体これからどうなるのだろう?
第5話 私が信じるべきもの
楽屋
Pastel*Palettesのメンバーたちは、楽屋で今日の出来事を振り返る。音が消えてしまったことについて、麻弥は機材トラブルだろうと予測する。照明は消えず、音だけが止まったことを考えると恐らくスピーカーやアンプの電圧の問題が生じたのだろう。
彩はあの時、声が出なくなり何も対応できなかったことをみんなに謝る。彩は自分の責任だと感じているところがあった。でも過ぎたことは仕方がないから「次」に活かすことにしようと、麻弥は彩を慰める。「次」があるんだろうか?「次」の仕事が来るんだろうか?もしかして、もうダメなんじゃないかと…?
不安な気持ちでいっぱいのPastel*Palettesのメンバーたち。代表として千聖がスタッフに状況を尋ねてみることにした。彩は、せっかく掴んだチャンスだったことよりも、ステージでは失敗ができないと分かっていたのに自分は何もしなかったことの方を責めた。
ステージ袖
千聖も今日のトラブルのことを考えていた。あんな失敗をしたらもうこのバンドに未来はない。それに、自分の名前にも泥を塗ることになった。挽回のチャンスをどう掴めばいいというのだろう?ここにいても恐らく挽回はできないのかもしれない。ならば、失敗しない道を選ぶだけだ。そんなことを考えながら、ステージ袖までやってきた。そして、スタッフに現在の状況を尋ねてみた。
楽屋
なかなか戻ってこない千聖を心配しながら、Pastel*Palettesのメンバーたちは楽屋で待っていた。ソワソワしてやりきれない日菜は千聖を探しに楽屋を飛び出して行った。
ステージ袖
ステージ袖に千聖とスタッフの姿を見つけた。日菜は千聖に声をかけた。すると千聖は、これから先、いろいろな出来事に出会うだろうけど、対応できる力を少しずつ身に付けて強くなっていかなければ!千聖がいなくても大丈夫なくらいに…と意味深なことを告げる。
楽屋
楽屋に戻った千聖は、今回のトラブルについてスタッフから聞いた話をみんなに伝える。原因は麻弥が予測したとおり、機材トラブルだった。今は詳しい原因を確認中だとのこと。そして、みんなが一番心配していること…Pastel*Palettesの今後については明日、話があるとのこと。
スタッフも、いい方向に向かうように動き回ってくれている。今日のことは辛いし、大きな痛手でもある。だけど、今はスタッフを信じて待つしかないのだ。彩は、これから自分が信じるべきものって何なのだろうか?と、またまた考え込んでしまった。
第6話 新しいパスパレになろう
翌日・芸能事務所 会議室
Pastel*Palettesのメンバーが会議室に集合している。これから先のことを心配して、彩たちは暗い雰囲気の中にいた。そこへスタッフがやって来て、話を始めた。それをみんなで聞き、千聖は今日の予定である取材3件とラジオの収録がどうなったのか尋ねてみた。
…予定はすべてキャンセル。キャンセルになったのは今日の予定だけではなく、この先のすべての予定も、なのである。Pastel*Palettesは、しばらくの間メディアへの露出を控えるというのが、事務所スタッフとして話し合った結果なのだった。
心配でたまらない彩は、自分たちがもう一度ステージに立つことができるのかどうなのか、スタッフに尋ねた。今後の予定は「未定」…。しばらくは楽器のレッスンをする…。今回のような機材トラブルに備えて、最低限、今の持ち曲はすべて弾けるようにする…。
初めは演奏しなくていい、今度は全部弾けるように練習…言っていることが違う!とスタッフに抗議するイヴに、落ち着くようにと彩が声をかける。
レッスンして楽器が上手になれば、またライブができるかもしれない、だから今はふんばろう!と麻弥がみんなを励ます。
いろんなことが次々と起きて、Pastel*Palettesのメンバーたちは混乱気味になっている。ここは、一度落ち着いて、スタッフの言ったとおりにして様子を見るしかないのか…。ふと目をやった雑誌の記事にメンバーたちは愕然とする。「パスパレ、大失敗!口パク&アテフリがデビュー当日にバレる」
人を平気で傷つけるような書き回しに憤慨するイヴだったが、たくさん練習して絶対にまたステージに立とう!と、みんなを励ます。このままでは済まされない!せっかくドラマーとしてPastel*Palettesを支えると決めたのだからと麻弥。これから頑張って新しいパスパレになろうと彩。立ち止まっている暇なんてないのだ。立ち止まっている暇があったら、もっともっと努力しなければ!と心の中で決意する彩。日菜もまた、大きなステージで演奏してみたいけど、今はこのPastel*Palettesでみんなと一緒に頑張りたいと思った。
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