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バンドリ!のPastel*Palettesはじまりの物語(第13~15話)

バンドリ!

第13話 重なる声

数日後・駅前

パスパレのメンバーたちは、駅前で、ライブチケットの手売りを頑張っていた。チケットを売り始めてから今日で5日目。思ったほど売れないことに日菜はガッカリとしていた。

突然雨が降ってきて、みんな急いで撤収にかかるが、彩はもう少し頑張ってみるとみんなに告げ、チケットの手売りを頑張る。メンバーたちは、風邪でも引いたら…と彩を心配するが、彩の気持ちは強く、雨の音に声をかき消されも、販売を中止しようとは考えなかった。

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芸能事務所 会議室

びしょ濡れで戻ってきたメンバーたち。会議室にいた千聖が、ずぶ濡れ状態の3人に何があったのか尋ねる。さっきまで駅前でチケットを売っていたら、急に雨が降り出してきて、3人は戻ってきたけど、彩は制止するのもきかず、まだ外で活動していることを伝えた。彩の、自分のできることは全部やりたい、決して後悔はしたくない、という思いは誰よりも強かったのだ。

イヴは、まだ戻ってこない彩を心配して、迎えに行った方がよいのかとも考えたが、ここはスタッフに任せようという話になる。千聖は、次の仕事があると告げ、一旦会議室を後にするが、そこまで必死になる彩が気にかかってしょうがなかった。

駅前

駅前では、彩が雨に打たれながら、佇んでいた。こんな雨降りの日に、誰もチケットなんて買わないだろう。雨に彩の声はかき消され、誰にも彩の声は届かない。それでも彩は、声を上げ続けていないと、自分の思いも願いもこの雨にかき消されてしまいそうで、それが何よりも怖かったのだ。

千聖は、彩の姿を見つけ、駆け寄って行く。そして、どしゃ降りの雨の中で、必死に声を上げている彩の思いを汲んで、千聖も誰にも届かない雨の中で、大きな声を上げた。

どうか自分たちの歌を聴きに来てほしい!

チケットはまだまだ残っている。千聖は彩に厳しく告げる。もっと大きな声を出さないと、誰にも届かない!そして、自ら大きな声で売り込みを始める。彩は、萎えかけていた気持ちを建て直し、再びチケットの手売りを再開する。2人で大きな声を出して雨に対抗する。

第14話 私らしいアイドル

事務所への道中

彩は、チケットの手売り販売を千聖に手伝ってもらった。その帰り道、なぜ千聖が雨にもかかわらず、手伝ってくれたのか、彩はその訳がよく分からなかった。

千聖は、彩と同じことをしてみれば、彩のことがもっとよく理解できるのではないかと考えたのだった。夢に向かってどこまでも愚直に突き進んでいく。愚直なのは、「自分にはそれしかない」と考えているから。それを心のどこかで自覚した上で、夢を叶えようとしてもがき続けている…本当に、彩は不器用だ…そんなふうに千聖は思っていた。

彩はどのように思われたとしても、それが自分らしさであり、自分にしかやれない方法なのだ、後悔だけはしたくない、だから、彩はやれることは何でもやっているのだ。

芸能事務所 会議室

日菜たちは、入ってきた2人を見て、一緒だったのだと気付く。そして、2人が話題になっていると話しかける。それはネットのコメントだった。雨の中チケットを手売りしている彩と千聖を見かけたが、根性ある姿だというコメント。口パクバンドかと思っていたが、今は地道に努力しているんだな。明日、買いに行ってみようかな。などのコメントがたくさん寄せられていたのだ。

研究生時代から頑張ってきた彩のことをしっかりと見ていてくれたのだ。彩の頑張りはここにこうしてファンのみんなにしっかりと届いている。今まで自問自答してきたけれど、頑張ってやってきたことは決して無駄ではなかった…そう気づいた彩は、嬉しくて嬉しくて涙が込み上げてきた。そして、くしゃみも一つ。

芸能事務所 廊下

千聖までもがくしゃみをしている。無理もない、あの大雨の中にさっきまで立っていたのだから。日菜は千聖の行動に関心があり、とても気になっていた。もっと話を千聖から聞きたいと思っていたが、千聖は、日菜にタオルを手渡し、その場を去った。

千聖は、ライブの件で電話連絡をしていた。彩が彩らしく行動しているように、千聖もまた千聖らしいやり方でパスパレの復活に向けて頑張っていた。

芸能事務所 会議室

会議室から、また一つ彩のくしゃみが聞こえている。雨の日はやっぱり避けた方がよかったのかも。

第15話 今日から、ここから

数日後・芸能事務所会議室

パスパレのライブのために、千聖はスタッフと今日も交渉を続けていた。パスパレの評判についてスタッフが言うには、今回のことで、芸能関係者からの評判や注目度が上がっているらしい。どうやらチケット販売をしたのは千聖だと思っているらしい。一番頑張ったのは彩たちなのに…。スタッフはよく分かっていないようだ。パスパレのメンバーは千聖だけではないのに。千聖はそのあたりの話をしっかりとスタッフに伝えた。

芸能事務所 廊下

今までの千聖なら、他のメンバーのことなど考えもしなかったのに。どうしてメンバーをかばうようなことを言ったんだろうと、心の中で思った。千聖は、さっきのスタッフとのやり取りを回想していた。話している時になぜ憤りを感じたのだろう。それは、自分以外のメンバーの努力を無碍にするような物言いであったから。千聖は、メンバーに対する自分の気持ちが少しずつ変化してきたことをまだ十分に自覚していなかった。

芸能事務所 レッスンスタジオ

彩は、くしゃみも治まり、練習も頑張れる状態になったけど、日菜に聞いて、あの時千聖も雨に濡れてくしゃみをしていたことを初めて知った。風邪でも引いていなければいいけどと案じていたところ、自主練に千聖が現れた。千聖が自主練に参加するなんて、誰も予想していなかったので、みんな驚いた。目の前の千聖は、日菜が知っている千聖じゃないみたい。特に最近の千聖の行動には不可解な部分もある。

千聖が自主練に参加してくれたことがとっても嬉しかったのだろう。千聖のみんなへの挨拶が終わらないうちに、イヴがいきなり千聖に抱き着いて来た。千聖は驚いてしまった。イヴは、このハグは親愛の証だと言って、苦しがる千聖を放さない。

嬉しかったのはイヴだけではない。彩も麻弥も日菜も同じ気持ちでいっぱいだ。千聖がどんなことを考えているのか、まだ全部は分からない。だけど、それはこれから少しずつ知っていけばいいだけのこと。今日ここから、始めていけばいいのだ。千聖とメンバーたちの気持ちが段々とひとつにまとまっていく。相手のことをより理解しようとする気持ちが働けば、相手のことがよく分かるようになるのだ。

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