第11話 夕焼けの次の日は、晴れ
翌日・通学路
久しぶりに外は夕焼け。こんな夕焼けを見ていると、中学の頃、屋上で5人で夕焼けを見たのを思い出す。結局、離れても5人でいた時のことを考えている…。ずっと5人で一緒にいたんだから当然のことでもある。ひまりとモカ、蘭にも謝らないといけないと思う巴。巴はひまりに電話してみた。きれいな夕焼けをひまりも見ていた。きっとモカや蘭も、どこかでこのきれいな夕焼けを見ているのだろうか?
羽丘女子学園 屋上
屋上にはやっぱり蘭がいた。美しい夕焼けを眺めていた。モカは話しかけようと思うのだが、何と言って話せばいいのか分らないでいた。すると、蘭の方が先にモカに気づき、そばに来るように促す。2人は一緒に並んで中学の頃を懐かしく思い起こす。バンドを結成してからは、ほぼ毎日ここに来ていたこと。中学の文化祭ライブの後で見た夕焼け。蘭は覚えているのだろうか?
中学の文化祭ライブがデビューだったからよく覚えていると話すモカ。すると、蘭もそれに続ける。練習の時と全然違って、自分たちの音だけじゃなくて、歓声が音と混じり合って、1つの音楽になって、まるで、曲が生きているみたいにどんどん盛り上がっていって…。これが「ライブ」なんだと気づいた。「ライブ」の魅力に気付いたというか、「ライブ」に感動したというか…。
ライブの後、感激してみんなで泣きながらここで夕焼けを見たよね。この日のこと、蘭は忘れていなかった。「また、みんなで夕焼け、見たいな…」「みんなとバンド、続けたい。今ここで、止めたりしたくない」と蘭。
巴に家のことを言われて気づいたことがあると蘭は続ける。自分は、お父さんから、そして華道から逃げていたんだって。知らないうちに、バンドをその逃げ道にしていた。だから家のことには触れられたくなくて、あの時はつい飛び出して…巴には痛いところを突かれたよね。巴には今度謝らないと。ひまりやつぐみ、それにお父さんにも。
そして、蘭はいつも一緒に隣にいてくれたモカに感謝の言葉を口にする。さらに、蘭の方から、明日つぐみのお見舞いに行こうと切り出す。
夕焼けの次の日は晴れることが多い。きっと明日は晴れ。明日はきっといいことがあるだろう。
第12話 はじまりのおわり
翌日・病室
ひまりと巴は、つぐみのお見舞いに行く。つぐみは疲れで発熱し、みんなに迷惑をかけてしまったことを謝る。生徒会室で倒れているつぐみを見た時はどうなることかと思ったと巴。あの時二人が来てくれて本当によかったと語るつぐみ。
そう言えば、蘭とモカはどうしているのだろう?ちょっと気になるつぐみ。蘭のことが心配でしょうがない巴は先だって、蘭と言い合いになり感情をぶつけ過ぎたことを話した。蘭には申し訳ないことをしたと反省している巴。話せば、きっと蘭も分ってくれるはず。やっぱり5人揃っていなければ寂しいものだ。みんなで一緒にいられるようにとバンドを始めたはずなのに…。バンドを始めたばかりの頃のことをみんなで回想する。
分らないことだらけで、みんなで一緒に考えていろんなことを経験して…楽しかった…。今はどうだろう?蘭はバンドを楽しいと思っているのだろうか?
最近の蘭と来たら、バンドをしている時も、辛そうな顔をしているし演奏も歌も調子悪そうだ。もしかしたら、蘭は、バンドと家のことで板挟みになっているのかもしれない。巴の話を聞いて、つぐみは、もうバンドはやめた方がいいのかもしれないと考える。バンドはすごく楽しい。みんなと一緒に演奏するのもすごく好き。だけど、辛い思いをしている友達のことを放ってはおけない…。バンドを辞めることは寂しい。だけど、これが蘭のためになるのなら…。
蘭が落ち着いたらバンドは再開すればいい。ガルジャムだって、きっとまた出る機会があるはずだから。今は蘭のことを一番に考えよう。そんな考えに落ち着く3人。
商店街
蘭とモカが商店街を歩いている。つぐみのお見舞いにパンを買っていこうというのだ。早くしないと面会の時間が終わってしまう!巴たちも来てるといいのだが…。蘭は、巴たちが、もし来ていたら、ちゃんと謝って、ちゃんとバンドを続けたいと伝えようと思っている。
第13話 仲直りの先に
病室
つぐみのお見舞いに、モカと蘭がやってきた。蘭は、同じくお見舞いに来ていた巴の姿に気付く。5人がこうして揃うのは久しぶりのことである。モカはつぐみのことが心配で夜も眠れなかったと大げさに話す。つぐみは授業を休んだことで勉強についていけるかどうか心配していると、モカがノートを見せてあげると優しいことを言う。つぐみは、週が明けたら退院できるし、学校にも行けると嬉しそうに話す。ということはバンドの練習もできるということだ。
さっきから、蘭も巴も一言も口を聞かない。巴が先に蘭にこの前言い過ぎてしまったことを謝る。そして、蘭もまた巴に謝る。病室でさっきまで蘭のことを話していたのだと続ける。最近の蘭はずっと辛そうだって…。もともとこのバンドは、みんなで一緒にいられるようにと始めたもの。なのに、そのバンドに参加している時の蘭はすごく苦しそうに見えたんだ。蘭はきっと今、家のことで大変なんだと思う。もしも、蘭がバンドと家との板挟みで苦んでいるのだとしたら、それは蘭だけでなく、自分たちにとっても辛いことだ。自分たちは、蘭を苦しめてまでバンドをしたいとは思っていない。だから、少しだけバンドを休止させようじゃないか。
それを聞いて、蘭もモカも驚く。蘭は思わず、「…嫌だ!」と。蘭は、バンドを辞めたいなんてちっとも思ってはいないのだった。
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