第18話 おそろいのイクサショーゾク
CiRCLEスタジオ
香澄は、みんなにメロディを弾いて、こんな感じはどういかと提案する。いい調子で曲作りは進んでいたが、途中で友希那が納得できないのか小さなため息を漏らす。何か気になるところがあるに違いない。
友希那は、香澄たちが考える曲調のものを歌ったことがない。だから、どんな風に表現すればいいのか、それを考えていたのである。
こころは、簡単なことだと言う。ただこの曲を楽しんで歌えばいいだけのことだと。音楽が何よりも雄弁と語ったのは友希那自身だった。蘭にそれを指摘されたが、友希那は素直に受け止める。そんな対話を聞いていて、香澄は心の中でこう思った。
友希那先輩は誰よりも音楽と真摯に向き合っているからこそ、それだけ悩みもあるんだな。Roseliaのメンバーたちだけではなく、自分たちもRoseliaの力になりたい。
羽沢珈琲店
羽沢珈琲店では、沙綾のお店の試作品ということで、たくさんのパンを持参していた。花音は、その試作パンの中に、ミッシェルの形のパンを見つけて驚いた。モカはさっそく、美味しそうにパンをほおばっていた。そして、チョコで可愛らしく顔の描かれたベーグルを見つけた。沙綾はこのベーグルのデコレーションをみんなでやってみないかと提案する。花音は、すぐにでもやってみたそうにしていた。
準備がいろいろとある中、頼んでいたポスターはどうなっているのだろう。さっそくモカに尋ねてみると、OKが取れたということで、沙綾は一安心する。モカにもっともっと大好きなパンを食べるように勧め、笑いが起きる。
そうこうしているうち、遅れて千聖がやって来る。今日はオリジナルドリンクをみんなで考える予定だったのだ。さっそくつぐみが考案した、紅茶をベースにしたドリンクをみんなに提示し、意見を求めた。
ファミリーレストラン
そして、ファミレスでは、リサが考案したTシャツのイメージをみんなに発表した。ひまりとあこはそのデザインを見て、カッコいいと思った。イヴもまた、大喜びで、お揃いのイクサショーゾクで士気が上がるとテンションを上げて話す。燐子の提案で始まったこのTシャツのデザインは本当に素晴らしいものだった。Roselia の衣装もすべて、燐子がデザインし作っているのだから!
いつも誰かの何かの役に立ちたいと思っていた燐子は、こんな形でみんなの役に立てたことが内心嬉しかった。みんなでステージに立った自分たちをイメージしてみた。友希那や紗夜、それに燐子のTシャツ姿…ちょっと想像するのが難しい。
モデルをしているイヴは、自分の経験話をする。自分が着たことのないデザインの服は、着るまでは、自分でもどんな風になるのか想像できない衣装もあったけど、着てみると、新しい自分を発見できたような気がすると。だから、燐子もまた、Tシャツ姿の新しい自分がきっと見つけられるはずだとイヴは続けた。その話を聞き、燐子も「新しい自分」が発見できるのではないかと、期待感が膨らんだ。
第19話 最後の歌詞
CiRCLE前
みんなで協力して作ったポスターやチラシがなかなかの評判だ。仕事関連で、モカの母親に依頼していたものだったが、実は、母親に習いながら、モカ自身が作ったものなのである。それを知り、蘭は驚いてしまった。蘭たちとは別のグループがチラシ配りをしてくれている。それぞれ分担した仕事は、着々と進んでいるようである。
通学路
通学路では、日菜とはぐみが、大きな声を出してチラシを配っていた。何と、薫もいる。うまくチラシが配れるんだろうか…心配になってくる。花束を渡す代わりに、チラシの束をあげようなどと話しかけている。だいじょうぶなのか?
相変わらず薫の周りには、ファンが殺到中。薫からたくさんのチラシをもらい、嬉しそうにしている。それを見ていた有咲は、浮かぬ顔。無理もないところだ。いろんな人に配って、たくさんの人に来てもらえるようにしなければ、意味がないのでは?そう薫に投げかけてみる。
薫は、納得してくれたようだ。隣でチラシを配っていたはぐみは、自身がハロー、ハッピーワールド!に入った時のことを懐かしそうに思い出していた。そう、はぐみもミッシェルが配っているチラシを見て、入ろうと思ったのだ。
日菜もまた、自分のきっかけについて思い出していた。日菜は、チラシを配ることに熱心になっている。すかさず、有咲が、チラシを配る目的を明確に告げたが、どうも今回のチラシのメンバーたちは意図を理解していない様子だった。
CiRCLEスタジオ
スタジオでは、蘭たちが曲作りを進めていた。いい感じに仕上がってきつつある。こころは、これで完璧だ!と浮かれた様子。
曲は、うまくまとまってきたのだが、どうしても最後の歌詞だけが埋まらなかった。香澄は、パーティっぽさと、みんなで1つって感じを出したいと思い、悩みに悩んで歌詞を考えるのだが…。
演奏者とお客の関係…。同じ場所にいながら、同じ気持ちで…。それを伝えられるような単語を探しているのだが、しっくりくる言葉がなかなか出てこなかった。
彩も蘭も、一緒に考えてくれているのだが…みんな、ここで行き詰ってしまった。
おもむろに、香澄がユニークな提案をする。最後の歌詞は当日決めるという案を出す。友希那は、意図している意味が分からなかった。当日、感じた気持ちをそのまま歌詞にするというのだ。もし、思いつかなかったらどうするつもり?
もし、思いつかなかったなら、その時はその時で何とか切り抜けると。本当に香澄らしい考えだ。
ライブでその時に感じたことが、演奏者と観客全員の思いだとしたら、どんな歌詞よりも、共感できる歌詞が生まれる…その時に感じた思いをそのまま歌詞にすればいいのだ。起こってもいないことを今、考えたって分らない!当日がわくわくドキドキ。本当に楽しみになってきた。
香澄の提案に、みんなが賛成し、最後の歌詞は空白のままで。ライブで見せるなら、最高のものを見せなければ、意味がない!友希那はさっそく練習に取りかかろうとみんなを促す。これから他のメンバー達をスタジオに集め、出来上がった曲を聴いてもらうことにした。
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