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バンドリ!のRoselia青い薔薇芽吹く(第16~17話)

バンドリ!

第16話 親友の役目

スタジオ

スタジオに一人残り、これから先どうしたらいいのかリサは悩んでいた。スタッフから声をかけられて、時間がずいぶんと過ぎていたことに気付いた。この後バイトもある。Roseliaがバラバラにならないように、何とかしなければ…。そんなことをずっと考えていたのだった。

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コンビニ

コンビニでのバイト中、友希那からメールが入った。メールには、来週の練習は取り消し。すでにメンバーにも伝えたとのこと。予約も取り消されたということは、バンド練習が再開される予定がないということ?考えれば考えるほど、この先のことが心配になってきた。

バイトで一緒のモカが、横からリサに話しかけてくる。友希那は幼馴染み。しかも、家も隣同士。ずっと一緒にやってきたのに、あの時どうして自分は上手く対処できなかったのだろうと、また考えてしまう。でも、モカには気付かれないように、すぐに同じ問いを返す。どことなくモカも悩んでいそうな、そんな表情をしていることに気付いた。ポツリポツリと話すモカの話に耳を傾け、リサは、モカも自分と同じ立場で似たような悩みを抱えていることが分かった。ずっと、隣にいて「見守る」だけ。そんな立ち位置なのだ。

リサは、モカに話して聞かせる。親友のことが本当に大切なら、隣にいるだけじゃダメなんだ。親友が間違った方向にいかないように導いてあげることも親友の役目なんだ…。モカに言い聞かせると同時に、自分にも言い聞かせているようだった。

湊家 友希那の部屋

友希那もまた、悩んでいた。事務所からメッセージが来ているのは分かっている。早く開封して確認しなければいけないことがあるのに、まだそれすらできていない。

リサから、メールが入る。でも、友希那は、忙しいから無理だと返事を返す。だけど、忙しくないことは、隣のベランダから全部見えていて、バレていた。そして、隣のベランダからリサが、友希那の部屋に侵入してきた。隣同士、子どもの頃から行ったり来たり、お互いによくしたものだ。

リサは、友希那に今回のスカウトのことに気付けなかったことを詫びる。友希那の家の前でたまたま会った日の夜、友希那の身に起こった出来事に少しでも気付いていれば、何かできていたのかもしれない。親友が悩んでいることに気付けていたならば、リサなりに何か対応できたのかもしれないと。

友希那が幸せなら、それでもいいのかなと、リサは口では言いつつ、実際には何もしてこなかったことを情けなく思っていた。友希那の父親のこと、Roseliaのこともフェスのことも、ずっと友希那一人に背負わせてきた。だから、これからはもっと友希那と一緒に考えていきたい…。

友希那は全部初めから分っていた。悪いのは自分なんだ!自分の勝手さがこういう事態を招いたことぐらい分っている!なのに、どうしていつもリサは、こんな自分に優しくするのか!いつもいつもそうやって、自分のやることを笑って見守ってくれていたけど、今は、そのリサの優しさが鬱陶しい。そばに、リサがいると、ちゃんと音楽に向き合えない!!

友希那は、一気に感情がほとばしり、リサにぶつけてしまった。友希那のことを大切に思うばかりに、ついつい甘やかしてしまっていたことに気付いたリサ。友希那の力になってやれることは今はないのかかも…。だけど、友希那がフェスに出たいのだという覚悟だけはよく知っている。

5人でバンドを組んで練習している時は、昔の友希那が戻ってきたようで、リサは、すごく嬉しく思っていた。友希那が本当に幸せそうに見えたのだ。だから、もしも友希那が何かに迷っているのならば、今はRoseliaを捨てないでほしいと、リサは静かに友希那に自分の気持ちを語った。

リサは、今の自分にできることをやった。友希那に自分の思いを伝えることができて、結果はともあれスッキリしたことだけは確かだ。

音楽は、気持ちだけではできない。友希那は、さっきリサが言っていたことを回想した。自分は、父の代わりにフェスに出る。その気持ちだけでこれまで突っ走ってきた。友希那は、何かもっと大事なことに気付き始めていた。

自分の部屋に戻ったリサは、さらに考えていた。他にもまだできることがあるのかもしれない。だけど、それはまた今度、考えていけばいいこと。さっきのように、友希那とぶつかっても、それでもリサは友希那とちゃんと向き合い続けたいと思った。

第17話 言葉だけじゃ

羽丘女子学園 2-A教室

リサは昨日、友希那とこれからもちゃんと向き合うと決めたのだけど、肝心な友希那は一人ですぐに帰ってしまうし、どうしたものかと考え込んでいた。

そんなリサにクラスメイトが気が付いて、リサに「らしくない」と言う。「もしかして、バンド辞めたとか?」っと言われてしまう。クラスメイトからネイルのお誘いを受けたけど、ちょうど届いたあこからの動画メールを見て、揺らいでいた気持ちが真っ直ぐになった。

カフェテリア

カフェテリアでは、燐子とあこがいた。本当は今日はバンド練習の日なんだけど、家にいても気持ちが落ち着かないし、逆にオフ会でもして顔を合わせ話している方が気が休まるのだ。燐子はライブで着る衣装を完成させ、写真に撮って持ってきていた。

あこはその写真を見て、すごくカッコいい衣装に仕上がっていたので、5人で衣装を着たらどんなに素晴らしいことだろうと一瞬思った。だけど、現実にバンド練習は中止になったし、自分が余計なことを言ったから、こんなことになったのではないかと、あこは自分を責めていた。

でも、それは違う。友希那が本当にRoseliaを辞めるなら、それは、いつか…わかっていたことだから。Roseliaはこれからどうなるのだろう?Roseliaはなくなってしまうのだろうか?また、そのことを考えて2人は気持ちが暗くなっていた。

ふと目にした動画…その中に燐子の姿が映っていた。その時の練習風景が甦る。また一緒にやりたい。今の状況を何とかしたい。あこは、そう思うのだけど、また集まったとしても、今回のようにバラバラになってしまうような気がして、漠然とした怖さを感じていた。

燐子もあこと同様に、Roseliaがバラバラになってしまうのかもしれないと感じていた。だけど、燐子を前向きに変えてくれたのは、このRoseliaだ。自分自身を変えてくれたこの人たちと、もっともっと一緒に音楽がしたいと思った。だから、今の自分たちにできることを考えて、何とかしたいと思った。

あこは、考えていた。燐子とのチャットの中で、燐子は「言葉だけじゃ、伝わらないのかもしれない」と言っていたのを思い出していた。例えば、音で伝えるというのはどうだろう…?

紗夜は自分の部屋で練習を続けていた。高みを目指す紗夜にとっては、このレベルではまだまだ。弾き込んでもどうなることか…。今の紗夜にとってはやはりRoselia に賭けるしかなかった。

勝手に部屋を覗き込む妹の日菜に「Roseliaを辞めるのか?」と問われ、紗夜は苛立つ。日菜は、紗夜の弾くギターの音が何となく紗夜らしくなった気がすると話し始める。でも、日菜の説明が不十分だから言っている意味が紗夜には届かなかった。

紗夜に、あこから動画メールが届いた。動画には練習風景が映されていた。紗夜の姿も映っている。紗夜の表情は優しく、笑っている…。Roseliaがなくなったら…と紗夜は考え込んでしまった。

湊家 友希那の部屋

部屋で考え事をしている友希那の元へ電話がかかってきた。迷っていた友希那もどうやら決心がついた様子である。

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